就業規則はなぜ必要なのでしょうか。
しっかりとした就業規則を作っておくことで、会社を守ることができ、たくさんのメリットを得ることができます。
就業規則で得られるメリット7つをご紹介→
また、社員にも安心して働いてもらうことができます。
詳しくみていきましょう。
就業規則が必要になる根拠
労働基準法には
常時10人以上の労働者を使用する事業場は必ず就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出ること。
(労働基準法第89条)
※「労働者」にはパートタイム労働者やアルバイト等も含む。
となっていますが、厚生労働省では
「従業員が10人未満であっても就業規則を作成することが望まれる」
とされています。
でも、会社で経営者と社員の意思疎通がうまくいって、会社の業績も順調にいっているときは、やはり就業規則の必要性をあまり感じない経営者もいらっしゃるようです。
しかし、会社として、経営者と全社員がひとつになって活動するためのツールとして、また、
会社のルールを社員にしっかり守ってもらいたいと思ったら、
たとえ10人未満の会社であっても、社員を雇用したら就業規則があることが望ましいといえます。
就業規則があれば、会社も社員も安心することができる
就業規則を作成すると、会社は就業規則に基づいた対応が可能になり、懲戒処分等が行えるようになります。もしも何かあったときに実際に懲戒処分を行うかどうかは別にして、懲戒処分を行うことがあることを示すだけでも、職場の秩序を維持する効果があるといえます。
また、就業規則を作成すれば、労働条件や服務規律などが明確になりますので、10人未満の会社でも就業規則を作成することは望ましいといえます。これらのルールが明確になると、その場しのぎの対応がなくなり、社員も安心して働けることになります。
将来、もし労働基準法違反などがあり、たとえば、割増賃金の支払いを求められたときに、社員数が多いと会社に与える影響も大きくなります。
社員数が少ないうちに法律を遵守した社内ルールにしておいたほうが望ましいといえます。
もしも就業規則が無いと、会社が不利益を被ることになる
たとえば、横領のような会社にとって重大事件が発生した場合、その社員を懲戒解雇するというような懲戒処分が適当と思われます。
ただし、懲戒処分を行うためには、懲戒事由として「客観的に合理的な理由」と「社会通念上相当である」ことが必要であり、その事由にあたる内容が、その会社の就業規則に記載されていることが求められます。
※このことは労働契約法第15条で規定されています
ということは、
懲戒解雇をしようとしても就業規則にその内容が記載されていなければ、たとえどのような重大な内容であったとしても、裁判となった場合において、会社が行った懲戒解雇を無効とされる可能性が非常に高い
といわれています。
少人数でも就業規則を作成すると得られるメリット7つ
「従業員が10人未満であっても就業規則を作成することが望ましい主なメリット」は下記のようなことが考えられます。
1. トラブルを未然に防ぐことができる
インターネット環境や社員の意識が高まるに連れて、最近では残業代請求、有給休暇取得や配置転換への不満についてのトラブルや裁判に増加傾向がみられるようです。
事前に就業規則に労働条件等についてきちんと記載しておけば、社員と会社におけるトラブルの発生するリスクを小さくできる可能性があります。
2. 勤怠などでのトラブル等が発生した場合にすぐに対応できる
もし勤怠などでトラブル等が発生した場合には、就業規則にその対応方法を事前に定めておけば、すぐに対応することができます。
3. 処分が必要になった時もルールがあるので安心
就業規則に懲戒処分について事前に定めておけば、万が一社員がトラブルを起こしたときも、焦らなくて大丈夫です。就業規則に記載しておいたルールに則って処分をすることができます。
4. 会社や職場の秩序、ルールが守られる
就業規則には、労働条件などだけでなく、「服務規律」についても定めることができます。
したがって、たとえば身だしなみなどについてのルールが就業規則にしっかりと定められていれば、社員は職場に合った身だしなみを心がけるようになり、職場の秩序を保つことにつながります。
5. 働きやすい職場を作ることができる
就業規則に会社のルールが書かれていることによって、会社のルールについて社員がわからないことなどを上司に気軽に質問しやすくなります。
会社のルールについて気軽に質問をすることができるということは、上司と部下のコミュニケーションが円滑にすすむという職場づくりにもつながります。
また、社員が安心して働くことができれば、離職率の低下にもつながると考えられます。
6. 会社としてのリスクマネージメントに役立つ
SNS等のソーシャルメディアの発達により、社員やアルバイトが顧客の個人情報を漏えいするトラブルが増えているようです。
特に個人情報は一度でも漏えいしてしまうと元に戻せません。
就業規則にきちんと個人情報の取扱いについて記載し、社員に厳守するようにしておきたいものです。
7. 労務トラブルが起きたときに会社を守ることができる
労働者は労働基準法によって守られています。では会社はどうでしょうか?
社員との間で労務トラブルが発生した場合に、就業規則は、いざというときに会社を守る方法のひとつになりえます。
大きな会社も小さな会社も、同じ会社。経営者がいて従業員がいます。
このように就業規則は、従業員に安心して働ける環境を提供できると同時に、会社も守ることができます。
ただし、トラブルが起きてから作成しようとしても間に合いませんので、やはり事前に準備が必要でしょう。
いかがでしたでしょうか。
あなたもこの機会に、就業規則作成について考えてみませんか。